理念をカタチに。その歩みと挑戦。
「作業」を「誇り」へ。
三滝苑が排泄ケアで取り戻した、
介護のプロフェッショナルとしての輝き
介護の仕事は、人の人生に深く寄り添う仕事です。
しかし、どれほど利用者さまのために力を尽くしたいと思っていても、心に余裕がなければ、その想いを十分に形にすることはできません。
三滝苑もまた、コロナ禍という未曽有の状況の中で、大きな壁に直面しました。
感染対策に追われる日々。先の見えない不安。増え続ける業務負担。
職員たちは疲弊し、本来であれば利用者さまとの関わりの中で感じられるはずの喜びややりがいを見失いかけていました。
そんな現場を変えるきっかけとなったのが、「排泄ケア」でした。
排泄ケアを単なる作業ではなく、利用者さまの尊厳を支える専門技術として捉え直す。
その取り組みは、利用者さまだけでなく、職員自身の意識や働き方にも大きな変化をもたらしています。
今回は、その改革を支えた3人にお話を伺いました。
特別養護老人ホーム
三滝苑
副施設長
早瀬 崇章
理事長とともに現場の疲弊を打破するため、外部専門家の導入を決断。
特別養護老人ホーム
三滝苑
現場リーダー
龍 真紀
当初の戸惑いを乗り越え、現在は改革の中心メンバーとして活躍。
コロナが流行したあの頃は、本当に苦しい時期でした。
感染対策によって仕事だけでなく私生活まで制限され、家族にも負担をかけているという思いがありました。
現場では職員同士にも余裕がなくなり、「誰がウイルスを持ち込んだのか」という空気さえ生まれていました。
介護以前に、人として疲れ切っていたのだと思います。
現場はとにかく慌ただしかったですね。
利用者さま一人ひとりとゆっくり向き合う時間もなく、次から次へと業務をこなしていく毎日でした。
本来なら会話をしたり、表情の変化に気付いたりする余裕が必要なのですが、それも難しい状況でした。
職員の心が疲弊すると、ケアにも影響が出ます。
もちろん誰も手を抜きたいわけではありません。
でも余裕がなくなると、利用者さまのために始めたはずの介護が、いつしか「業務を終わらせること」が目的になってしまう。
いくら「接遇を第一にしましょう」と伝えても、心に響かない状態で…。
見ていて、とても悔しかったんです。
だからこそ精神論ではなく、現場が確実に変わる仕組みが必要だと考えました。
最初は「排泄ケアなんて、うちはもうやってるよ」くらいの気持ちでした。
でも、岡本さんの話は違っていました。
僕は現場経験が長いので、以前から「尿量を測る重要性」は知っていましたが、継続させる難しさも痛感していた。
そんな僕の前に、岡本さんが「水を得た魚」のように、本当に楽しそうに排泄ケアの可能性を語ってくれたんです。
早瀬副施設長は私の話をすぐに理解し、深く共感してくださいましたね。
知識、技術はもちろん、人柄も含めて「岡本さんなら、三滝苑を変えてくれる」と確信しました。
職員のみなさんと初めて顔をあわせたときは、正直かなりアウェイでしたね(笑)。
「今さら排泄ケアを教わるのか」という空気も感じました。
正直、最初は「ちゃんと技術を持っているのに今さら排泄を教わるのか?」という反発もありました。「また面倒なことを増やさないでくれ」と(笑)。
排泄ケアは感覚ではなく分析が重要です。
「大きいパッドを使えば安心」というわけではありません。三滝苑の皆さんは、尿量を1g単位で計測し、データに基づいて適切なパッドを選ぶという科学的な手法を実践し始めると、すぐに目の色が変わりましたね。
科学的な根拠を元にパッドを選ぶと漏れが劇的に減り、利用者の肌トラブルも改善しました。
目の前で結果が見えるので、「なるほど、こういうことだったのか」と納得感がありましたね。
これまで経験や感覚で行っていた部分が、数字によって明確に見えるようになるので、職員のみなさんの変化は肌で感じていました。
利用者さまごとの尿量を測定し、そのデータに基づいてパッドを選ぶ。
シンプルなことですが、結果は想像以上でした。
ベテラン職員ほど衝撃を受けたと思います。
排泄ケアの改善によって得られたものは、単なる業務効率化ではありませんでした。
一番大きかったのは、職員の心に余裕が生まれたことです。
以前は漏れが発生して、衣類交換やシーツ交換に追われることも多々ありました。
技術が統一されていないと、前の担当者の当て方が悪くて漏れ、次の人がその衣類交換に追われるという「無駄な失敗」が生まれます。これが職員間のストレスの大きな要因でした。
今は全員が統一された高い技術を持っているので、そうした不要なイライラがなくなりましたね。
1人あたりわずか1〜2分の短縮でも、フロア全体で見れば大きな余力が生まれます。
誰が担当しても一定の品質でケアができる。
これは現場にとって非常に大きな変化でした。
無駄な作業時間が削減できた分、利用者さまと会話ができる。
食事介助をより丁寧に行える。
利用者さまの表情や体調の変化にも気付ける。
効率化の本当の目的は、利用者さまに向き合う時間を取り戻すことだったのです。
三滝苑の素晴らしいところは、教育への本気度ですね。
新人職員は現場に出る前に、まず排泄ケアの考え方と技術をしっかり学びます。
岡本さんを通して最初から三滝苑としての“基準”を学べるので、未経験の方も迷いません。
私たち現場職員も教えやすいですし、新人さんも安心してスタートできます。
介護は学ばずして、誰にでも同じようにできる仕事ではありません。
専門的な知識も技術も必要です。
だからこそ、私たちは職員を専門職として育てたいと思っています。
「介護は初めてだから不安」
そんな方こそ安心して飛び込んできてほしいですね。
今では現場から積極的な提案が出るようになっています。
以前なら「決められたことをやる」だけでしたが、今は「もっと良くするにはどうすればいいか」をみんなで考えるようになりました。
今年は便のコントロールにも挑戦する予定です。
難しいテーマですが、みんな前向きですよ。
本当に主体性のある組織に変わってきましたね。
現場の皆さんが自ら課題を見つけ、分析し、改善策を考えて実践する力を身につけています。
それこそが、私がお手伝いをする本来の目的です。
こうした姿勢が根づくことは、苑がこれからさらに良くなっていくための大切な土台になると感じています。
私たちが求めているのは、言われたことだけをこなす人ではありません。
利用者さまのために何ができるかを考え、自ら挑戦し続けられる人です。
経験の有無は問いません。
やる気や成長したいという思いがあれば、私たちが全力でサポートします。
職員一人ひとりの挑戦が、利用者さまのより良い暮らしにつながる。
そんな施設づくりを、これからも続けていきたいと思っています。

gaoloop(エガオループ)は、おむつケアや排泄ケアの改善を通じて、介護施設の利用者様の快適性向上、スタッフの労力軽減、施設の経営改善のお手伝いをしています。